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 世界中の花火が一斉に火を吹いたかのようなあの時、まるでこの世の幸福を凝縮した場面を眺めているかのようだった
 しかし、実際ソレを目のあたりにしてみると、花火が燃え尽きた後のあのなんとも言えないやる瀬ない気持ちが胸にこびりつくかのように住み着いて離れてはくれないのだと言う事に、否が応でも気づかされた。




Twin




 チュンチュン

 今日も小鳥の囀りで目が覚める。相変わらずだが、この目覚め方には慣れていない。
 なにをするでもなく呆と天井を見つめてみた。意味不明な発明で幾度となく起こっていた煙のシミがいっぱいに刻み込まれた天井が、つい数日前まで彼らがいた事をありありと思い出させてくれた。彼等のいない朝を迎えたのはこれで何度目となるだろうか。部屋中に染み渡った爆薬や悪戯製品の匂い。壁に遺されたままの彼等の落書き。耳を澄ませばいつでも聞こえて着そうな騒がしい彼等の笑い声。

おやおや、諸君等は一体どこの貴族お坊ちゃんのつもりだい?

我々の起床時間は午前であって午後ではないはずだったが。おや、太陽の位置を見間違えているのか?

貴重な朝の時間を休日だからといって寝て過ごすような不届き者には…こうだ!

 真夜中にヒソヒソと悪戯の会議を開くのも、実験台代わりにいろんな薬をかがされるのも、いいアイディアはないかと朝から晩まで纏わり付かれるのも、7年かけてようやく慣れて来たところだった。喧嘩だって言い争いだって数えきれないほどした。些細な意見の不一致で一週間も目さえ合わせないこともあった。

 だけど、どれもこれも今じゃ思い出にすぎない。

 あの踊り場の君達の功績を見る度に確かに胸は痛むのに。君たちの笑顔を思い出すたびに目頭が痛むのに。つい後ろに向かって話し掛けてしまうんだ。『お前達も馬鹿だよなぁ。どうせならこの泉に女子更衣室が覗ける仕掛けでもつけとけばいいのに!』きっと彼等は僕の案に目を輝かせて喜びこういうだろう。

 さすがプロフェッサー・!君のその人並みはずれた女子生徒への執着と素晴らしく官能的な発想に、我々はまるで蛙に押し潰された鳩のように目を丸くすることしかできない!

 彼等を思いだし、くすりとつい笑みが零れた。
 その時、やはり隣りのベッドから自分と同じような笑い声が聞こえた。ルームメイトと朝の日差し越しに顔を合わせると、まるでしょうがないなぁという風に二人で笑いながら朝の挨拶を交わした。

おはよう
おはよ。今日も静かな朝だな

 ふぁと欠伸しながらそう言ったルームメイトに笑って、僕はベッドから起き上がった。




 




 確かに彼等のいないこの部屋は、まるでじとりと湿り気を帯びている図書室のように感じるけど、何よりも彼等は笑う事を望んでいたのだから。

 少しだけ流した涙は、きっと数年後の笑いのネタになることだろう。





【060521 : ピーブズ、俺達に代わってあの女をてこずらせてやれよ。に惚れたなぁ。】