「うわあ!!!」

 ジェームズが、夜明け前に悲鳴を上げて飛び起きた。ジェームズの叫び声を聞きつけたは、注いでいたココアもそのままに、慌てて3階のジェームズの部屋へと駆け上った。


「ジェー君!どうかしたの!?」
 あの唯我独尊、大胆不敵の代名詞のようなジェームズが、こんな風に余裕の無い表情を浮かべているのをは初めて見た。尋常じゃ無い寒気を感じ取って、ジェームズの散らかり放題の部屋に足を踏み入れる。ジェームズの部屋は薄暗く、ランプに火さえ灯していなかった。はそっとカーテンを開けて、月明かりを部屋に撒き散らした。

「大丈夫?なんかあったの?」

 ジェームズの姉になって、それなりの月日が流れた。彼の傍に近寄ることになんの躊躇いも無くなったは、ジェームズのくしゃくしゃの髪をそっと撫でた。ジェームズは、呆然としたまま顔を覆っていた手からを覗き見ると、ほっと息を吐く。



「夢を見た―――多分、未来の夢だ。」

 ジェームズの切羽詰った声に、は息を呑んだ。どんな?悪い夢は人にしゃべると実現しなくなるって言うよ。気休めかもしれないが、日本に昔から伝わる知恵を呟いた。


「子供が、いたんだ。」
「―――うん。」

「二人いて、とても、よく似ていて。」
「うん。」


「きっと、双子なんだと思う。二人して僕の足にしがみ付いたり、僕の髪の毛を思いっきり引っ張ったり、僕のメガネを壊す味を覚えたり、とにかく僕が今まで人にしてきたような事をそのままトレースしたような悪戯を僕にするんだ―――!」
 ガタガタガタと怒りに震えながら、ジェームズは叫んだ。はというと、ポカンとジェームズを見てる。
「きっと、リリーと僕の子だ。だって、彼らはリリーに良く似た赤毛だったんだ。だとしたら、相手が僕じゃ無いのはおかしいだろ?あの悪魔のような子達は僕が叫ぶのも気にせずに僕の舌を思いっきり巨大化させたり、僕のズボンの中に花火を投げ入れたりしたんだ―――!」
「本当、ジェー君が他の人にしてることとあんまり変わらないじゃ無い。」
「・・・僕も、少し相手の気持ちがわかるようになったよ―――」
「そりゃよかった。」
「でもあの赤毛の双子だけは許せない・・・!僕はリリーと結婚しても、絶対に双子だけは産まれないようにしてやる・・・!」
「あらそ。がんばって。」
冷たい・・・しくしく」
「まさかそんなくだらないことで階段を思いっきり駆け上らされたとは思わなかったから。」
「なんで!ひどいっ!バカにしてるだろ!?」
「子供扱いはしてるけど、バカにはしていない。」
「重大なことだよ!!君の甥っ子だよ!?」
はリリーの子供がそんな風になる心配なんて、一回だってしたこと無いよ。」


 ほら、さっさか寝なよ。そう言ってジェームズを横にすると、ぽんぽんと布団を叩いて寝かしつける。ジェームズはまるで子供のように布団から顔だけを出すと、を上目遣いに見つめる。


「寝るまでいてくれる?」
「キッショイ。ジェー君、史上最強にキッショイ。」
「だって、あの双子が追いかけてきたらどうするんだい―――!」
「そしたら花火投げ返してやりなさい。」
「リリーの子供にそんな事出来ない。」
「じゃあリリー呼んで来て叱ってもらいなさい。」
「父親としての威厳が!」
「威厳気にするぐらいなら、義姉に寝るまでここにいろとか言うなよ、ジェー君!!」
「だってなら追い払ってくれるだろ!?」
「ちょっ、私だって甥っ子に嫌われたくないわよ!」




 [ 訂正 ]
 子ども扱いもしてるし、バカにもしてる。こんなバカな弟、世界中探したってそうそういないにちがいない。


 [ 予知夢解答 ]
 ちなみに、数年後に生まれた私の甥っ子は、父親に似た真っ黒な髪の毛が印象的な一人っ子でした。





























end


070208 : ちょっと本家での連載の設定もらってます。わかりにくければごめん!