そうね れんらくひとつ寄越さないのだから もう ひと思いに忘れてしまえばいいのに、 とじこめられたあたしは つながり一つ失いたくなくて のぞんでしまった。 歪んだ愛 の か た ちを 「」 低くあたしの体の際奥まで響いた彼の声は、神経と言う神経を辿ってあたしに喜びをもたらす。 「ようやく君を迎えに行くことが出来るよ。もうすぐ、もうすぐで完成するんだ」 彼は横たわったままのあたしにそっと手を伸ばす。50年前からちっとも変わらない、彼の愛情は、薄い皮膚を超えあたしの全身を刺激する。痛いほどの愛情を、受け入れることに対して抵抗を無くしたのはもう20年ほど前だったような気がする。確かな時間は覚えていない。ただ、あたしの時が止まりしばらくたった後で、彼の時が止まるほんの少し前だったような気がするのだ。 「君ともう一度、手を繋ぎたいな。」 それは、30年前の、ほんのひと時彼が垣間見せたやさしい少年の言葉だった。 本当に偶に見せる彼の少年らしい言葉は、を彼の愛に溺れさせていくには十分だった。深い深い愛に沈み、守られて、そして。 「、愛してるよ。」 再び生を手にした彼は、数年前に既に息を止めたあたしの体を抱き寄せ、呪文のようにそう呟くのだ。 . . . . . . |
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あの頃、優しくあたしの頭を撫でてくれた、少年の笑顔のまま。 End eiko:07'01'28 |