「何、その挑戦状」
リーマスはすごく興味無さそうにチョコレートをつまみながらそう尋ねた。いや挑戦状ってなんだよ。どういう推察だよ。どっからどうみてもラブレ…だめだ恥ずかしくて口に出せない。俺は答えたくなかったからちょっと黙っていたけど、「シリウス?チョコかけるよ?溶かして」「溶かすんだ!?」…仕方ないから正直に言うことにした。
「かっかか、カノジョから」 あ、噛んだ。(←タイトル)
沈黙が痛い。
リーマスはチョコレートを食べずに箱に戻して、首をかしげた。ジェームズは俺をまじまじと見つめ、心底不思議そうに尋ねる。
「てゆかシリウス彼女居たっけ?」
「い、いや、それは」
「どうしよう 照れるシリウス まじキモイ。…あまりのキモさに川柳できちゃったよ」
「リーマスすごいなその文才」
「何お前ら!なっに」
「あーあーあーまた噛んだ」
「なんかもういいや話進まないし」
「まだあんま話してなくね!?」
「そんなに話したいなら話してよ」
「うん、でも噛まずに頼むよ」
「別に話したくはねえよ」
「チョコレート」
「かけるよ?溶かして」
「溶かすんだ!?」
仕方ないから正直に言うことにした。(チョコレートはちょっといやだ)(熱そう)
「や…なんか最近いいなって思ってた、やつから」
「え、彼女じゃないの?」
「すでに彼氏気どりってわけか」
「ちちち違ぇよ!なんか口に出しづらかっただけ」
「あ、ふーん…」
「へー…」
「…な、なんだよ」
「え、別に?ただキモイなって」
「シリウス、君、すごく、キモイ」
「頼むからそのキモイっての強調するのはやめろ」
リーマスとジェームズは、うんわかった、とあっさり退いた。意外すぎて多少怖いが今何か言ったところでどうせどうにもならないからあきらめた。(俺って大人だな)
中身、読めないの?とリーマスが言ったの慌てて開ける。っつか読めないってなんだ。
「何が書いてあった?地球語?」
「なんでそこから聞くんだよ」
シリウス・ブラック様
お元気ですか?今日、お暇ですか?もし暇なら、
今日の20時に、お話がありますので、時計塔の最上階で、
首を洗って待っていて
・より
ええええーーーーーーーーーーーーーー????!!!!
「えええええーーーーーーーーーー!?」
「うわあシリウスうるさい!」
「うるさい死ね」
「ちょ、今さりげにリーマス死ねって」
「言ってないだろー」
「僕がそんなこと言うはずないよ(にこ)」
「大ありだけどな…まあいいや」
「で、どうしたんだいシリウス?やっぱ人外だった?」
「あーかわいそー」
「お前らいつまでそのネタひっぱんだよ。違えよ」
「じゃ、どうしたのさ?」
ジェームズはにやにやしながら俺の持っていた薄水色の便せんを奪おうとする。それはちょっと、なんか、嫌だったから、手を振り払って便箋を封筒にしまった。ジェームズはつまらなさそうに笑い、チョコレート決定だな、と言ってローブをまくり腕時計を見た。
「ジェームズ、買ってこなきゃ。僕もうほとんど食べちゃった」
「あ、それとお湯沸かさなきゃだね」
「本気!?」
「けどそんなことより、何時?」
「今はちなみに、19時49分だよ」
「え…」
あ。
「えええ」
「黙れ」
「死ね」
「ぜ、絶対いまリーマス死ねって」
「いいからもうさっさと行けー」
「うん、逝け逝けー」
「な、なんかリーマスのセリフに、違和感が、あれ?」
リーマスはクスクスと微笑んで、俺の頭を小突いて、時計見たら?と楽しげに言った。そうそう、なんかよく分かんないけど、今そんなことにかまっている場合じゃなかった。そう思い直して俺は、封筒を握りなおして、走る。走る。走る。
「っはあ、はあ…」
でも、最上階って、最上階って…イジメ!?
「はあ!」
ようやく辿り着いてローブをまくる。そこには何もない。骨ばった自分の手首だけ。そっか、俺、腕時計付けない人だった。ジェームズだったらよかったのにな(なんか違う)。
「シリウス君、10秒、遅刻!」
その声に顔を上げる。けど自分の頭の重みに耐えきれなくてまた下げて、息を整えた。
「…悪い」
「どうしよう 素直なシリウス まじキモ」
「ちょ、まって、すごいデジャブ」
「嘘です」
「嘘か…」
「…嘘です、その手紙」
「え?」
俺は手元の封筒を見つめる。嘘?
走ってくるときに必死だったせいで封筒はよれよれになっていて、そこに書いてある「シリウス・ブラック様へ ・より」というインク文字も少しかすれてしまっている。俺はそれを黙って見つめた。
「え、ドッキリ!?」
「このひとバカ!?」
「バカって!」
は俺のほうに駆け寄ってきて、息を整えている俺を見て目を見開いた。俺はなんか格好悪かったから視線をそらした。外はもう薄暗かった。今何時だよ。(20時以降なことだけは確か)
「走ってきてくれたんですか」
「…ちょっとだけな!」
「ありがとう」
「素直なも相当キモイぞ」
「うーるーさーいーなー」
「で、何?」
なんかちょっといじめたくなったので余裕ぶってそう言ってみたら、心底ウザそうな顔をされた。今日は厄日だ。いや、きっと、そんなことはない(というおれの勝手な予想)はウザそうな顔のままで口を開く。
「実はあた」
「あ、ちょっと、タイム」
「何ー!?いいとこなのに!」
「何がいいとこなんだよ」
「それは…うんその…もう言いたくないけど後には退けない」
「退けよ。俺が先なの、俺が先」
「は?」
「好きだ」
「………………………は?」
「あたしもーとかなんか気の利いたこと言えよバカ」
「バカって!」
「どうなんだよ?」
は口をパクパクさせてから、「そっそれ、挑戦状ってのは嘘で、ラブレター、なんだよ」と小さな声で言った。リーマスの予想は外れたわけだ。今日はやっぱ厄日じゃ、ねえな。
070715 sin (シリウス好きだよ。キモイけど。えへ)